少し前まで、キッチンやリビングの収納ボックスは見た目が重視されていました。モデルルームのような部屋で収納ボックスが陳列し、一見すると本当にキッチンなのかと目を疑うような収納が流行ったものです。
しかしそもそも収納は、人に見られるためではありません。本当に使いやすいようにするには、あえて「見せる」収納ボックスのほうが便利です。押し入れやクローゼットの中をより使いやすくするためで、隠れる場所に置く収納ボックスにおしゃれなデザインは必要ないのです。この記事では「見せる収納ボックス」の使い方について紹介します。
1.見せない収納はオシャレだけど…
徐々に見えてきた「見えない収納」の問題点。一見するとキッチンなのかリビングの棚なのか分からないようなおしゃれな収納には、さらに収納を難しくさせるデメリットがあります。まずは、「見せない収納」の問題点について、詳しく見ていきましょう。
1‐1.取り出すのにひと手間掛かる
「見せない収納」は、物をしまうときにワンアクションの手間が掛かります。例えばボールペンを収納するときにボックスなどに入れるのと、単にペン立てに入れるのでは、ペン立てのほうが手間は掛かりません。
見せない収納は表面的には部屋をスッキリ見せることができますが、実際に必要なものを取り出そうとするときには不便です。日常的に使うものほど、取り出しやすい位置にあるべきですが「見えない収納」ではその点が犠牲になりがちです。
1‐2.実は物が増える
見せない収納は見た目の美しさを保ちますが、実際には物がどれだけあるかを把握しにくくなります。
例えばキッチンで計量スプーンを引き出しにしまうと、上に何か物が入ることによってそのスプーンが見えなくなり、何がどこにあるのかを忘れがちになります。これにより、同じようなものを無意識に重複して購入することもあるでしょう。
反対に見せる収納では、所有する物が一目でわかるため、必要なものと不要なものの区別がつきやすく、結果的に物の増加を抑えることができます。
1‐3.探し物が増える
「見せない収納」のもう一つの問題は、探し物が増えることです。収納場所が見えないと、どこに何をしまったかを覚えておくのが難しく、必要な時にすぐに取り出せないことがあります。特に普段その道具を利用しない人にとっては見つけにくく、ストレスの原因にもなります。それを回避するにはボックスなどにラベルを貼るのが有効ですが、ラベリング作業に手間取るうえ、見た目が悪くなるケースもあるでしょう。
反対に「見せる収納」では、物がどこにあるのかが視覚的に明確となり、探し物をする時間が減ります。見た目的にはスッキリしなくても、使いやすく生活がスムーズになるのです。
2.生活をスムーズにするには「見せる収納ボックス」が便利
「見せる収納ボックス」を取り入れることで、日常生活をよりスムーズで心地よいものに変えることができます。その理由としては次に紹介する2点が挙げられます。
2‐1.物が取り出しやすく時短になる
物が取り出しやすく時短になることは「見せる収納」の大きな利点です。各部屋に取り入れることで以下のようなメリットが生まれます。
各エリア | 見せる収納によるメリット |
キッチン | 調味料やよく使う調理器具を見せる収納にすることで、調理中の動きをスムーズにし、時間を節約できる |
リビング | 雑誌、リモコン、タブレットなどを、リビングの中心部近くに収納することで、取り出しやすく、しまうのも楽になる |
子供部屋 | 子供にとって見せない収納は難しい。箱にどんどん入れて何が入ってるいか分かるような片づけのほうが、管理スキルは身に付く |
洗面所やバスルーム | 開放的で取り出しやすい棚に収納したほうが、朝や浴室での準備を短縮できる |
上記のように見せる収納を使うことで、どこに何があるか一目で分かり、探す手間が省けます。
2‐2.インテリアにもなる
見せる収納ボックスを選ぶ際には、収納する物と調和するデザインや、部屋の装飾に合わせた色・素材を選ぶことがポイントです。例えばカントリー調のインテリアが好みの方は、それに合った欧風のカゴを取り入れたり、レトロチックな雰囲気のカゴを取り入れたりすると良いでしょう。これにより、収納ボックス自体が部屋のインテリアとして機能します。
また、お気に入りのアイテムをディスプレイすることで、部屋に個性が出ます。例えば、美しいカバーの本や、趣味のアイテム、旅行の記念品などを見せる収納にすることで、自分の好きなものに囲まれるような雰囲気が出るでしょう。
3.見せる収納ボックスの使い方を紹介
さっそくここからは、見せる収納ボックスの具体的な方法やポイントを紹介します。ボックスは100円ショップでも利用できるうえ、紙袋などで手作りすることも可能です。お気に入りの収納ボックスを用意し、生活をスムーズにしていきましょう。
3‐1.お気に入りのデザインでインテリアにする
収納ボックスを選ぶ際は、部屋のデコレーションや色合いに合うデザインを選びましょう。ボックスは木製、布製、透明など様々な素材から選べます。
複数のボックスを使用する場合は、色やデザインを揃えた方が、統一感が出てスッキリとした印象になります。一方で、アクセントとして異なるデザインを取り入れるのも良いでしょう。
またコストを抑えたい場合は100円ショップの素材を活用したり、紙袋や布で手作りしたりすることも可能です。オリジナリティあふれる収納ボックスは、そのままインテリアの一部としても活躍します。
3‐2.ボックスに入れる量を決める
収納ボックスには「入れるべき物の量を決めておくこと」が重要です。物が溢れてしまうと見た目が悪くなり、物が取り出しにくいというデメリットも起きます。理想はボックスの7割程度までにしましょう。3割のすきまがあった方が物は取り出しやすくなり、見た目もオシャレです。
また、収納するアイテムを選ぶ際は、本当に必要なもの、頻繁に使うものに絞り込みます。これにより、収納スペースを最大限に活用し、使い勝手を向上できます。
3‐3.使用頻度が多いボックスを手前にする
よく使うアイテムは、取り出しやすい位置に収納ボックスを置きましょう。例えば押し入れのような広い収納の場合、つい物をどんどん奥に入れがちです。そこで季節ごとにしか使わないような物を奥に収納し、年間を通して使うものを手前にすることで、スムーズに物が取り出しやすくなります。棚の手前や、目につきやすい場所に頻繁に使用するボックスを置いた方が、必要な時にすぐ手に取れます。使用頻度の低いものは奥や上部に置くことを意識し、物の配置を考えることが重要です。
4.見せる収納、ゴチャゴチャしないためのポイント
見せる収納ボックスを取り入れるためには、上記に紹介した以外にもポイントがあります。機能的に便利なのはもちろん、部屋をごちゃごちゃさせないためにも、次に紹介する2つを意識しましょう。
4‐1.色はなるべく統一させる
使用するボックスの色を統一することで、収納スペースがすっきりと見え、部屋全体の印象がまとまります。どの色にするかあらかじめカラーを決めておいた方が、部屋全体が落ち着きます。例えば部屋の壁が白い場合、白を基調とした色やグレーなどで統一すると違和感がなくなり、部屋全体が広くなるでしょう。系色やモノトーンで色を統一すれば、落ち着いた雰囲気になります。これは特にリビングや寝室など、リラックスしたい空間におすすめです。
反対に個性を出したい場合は、アクセントカラーの活用もおすすめです。基本となる色を一つか二つ選んだ上で、アクセントとしてポップな色を加えると印象が華やかになります。
4‐2.乱雑エリアは部屋の正面から見て右側に
キッチンや洗面所などでは、どうしても物が集中しがちなエリアが生まれます。そんなエリアは部屋に入ったとき、なるべく右側のエリアに集中させた方が良いです。
部屋に入ったときに、最初に目に入るのは左側であることが多いです。左側を整理整頓しておくことで、安心感や快適さを感じられるでしょう。人の目は自然と左から右へと動く傾向があります。そのため収納エリアの左側をすっきりと保ち、乱雑しがちなアイテムは右側に配置することで、全体の印象を良くすることができます。
来客にとっても左側のエリアがスッキリしている方が良い印象を与えます。これらのポイントを意識することで、「見せる収納」をただの収納スペースではなく、生活空間の美しさと機能性を高めることにもつながります。
参照:知っておきたい人の視線の動き方。視線の動きを意識してユーザーを導く。 | 不動産業界とSEO、コンテンツマーケティングに強くなるコラム「REBCO」 (reblo.jp)
5.見せる収納ボックス まとめ
「見せる収納ボックス」は、生活をスムーズにし、空間を美しく保つための効果的な方法です。隠す収納とは異なり、頻繁に使用するアイテムを手の届く場所に置くことで、日常の動作を時短できるでしょう。また、お気に入りのデザインのボックスを選べば、インテリアとして楽しむことも可能です。
収納ボックスを使う際には中身が溢れないように量を管理し、使用頻度に応じてアイテムを交換すれば、生活空間はさらに使いやすくなります。ぜひ生活空間に「見せる収納ボックス」を取り入れて、機能的かつ見た目も美しい生活を実現させていきましょう。