意外に多い寒い冬でもシャワーだけの人|ヒートショックを防止するには?

湯船には入らず、冬でもシャワーで済ませるという人は少なくありません。夜はゆっくり湯船で暖まり体を休めるというのが理想ですが、仕事で帰るのが遅くなり1秒でも早くベッドに入りたい人も多いでしょう。また、水道代やガス代を減らすために、シャワーだけ浴びる人も多いです。

しかし冬場のシャワー派が気をつけなければならないのはヒートショック。温度差で体調を崩したり、湯冷めをして風邪をひいたりすることがないように、浴室と脱衣所の環境を整えておくことが必要です。ここでは冬でもシャワーだけの人が覚えておきたい入浴ポイントを紹介します。

1.湯船に浸かったほうがいいのは分かっているけど…

お風呂に入るなら、シャワーだけではなく湯船に浸かったほうが体にはいいです

湯船に浸かるメリット

メリット

説明

リラックス効果が高まる 温かいお湯に浸かることで、筋肉が緩み、心身がリラックスする。ストレスや疲労の緩和にも効果的。
血行促進、ダイエット効果 体温が上がることで、血行が良くなり、体の新陳代謝が促進される。ダイエット効果もサポート。
睡眠の質向上 湯船に浸かることでリラックスが促進され、良質な睡眠をサポートする。眠る1時間半前に入浴すると効果的
筋肉をほぐしコリを解消する 温かいお湯に浸かることで、筋肉が緩み、コリや疲れが和らぐ

これらのメリットからも分かるように、湯船に浸かることは身体と心に多くの良い影響を与えます。しかし、忙しい現代人にとって毎日ゆっくり入浴するのはなかなか難しいのも事実です。

1-1.シャワーだけの入浴のメリット

 

その一方、シャワーだけの入浴にも次のようなメリットがあります。

メリット

説明

時間が掛らない シャワーは湯船に比べて手軽なので、忙しい日常において時間を節約できる
新陳代謝促進 シャワーの水流が血行を促進し、代謝活性化をサポートする
目覚め効果 特に朝にシャワーを浴びることで目覚めが良くなり、一日の始まりをスッキリとした気分で迎えられる。
夏場や暑い日に適している シャワーは冷たい水も使うことができ、夏場や気温が高い日には熱中症の予防にもなる

シャワーだけの入浴は、特に忙しい日や気温が高い日などに便利です。シャワーを浴びるだけでも体の汚れはだいぶ落とせるので、清潔感を保てます。

1-2.最大の問題は寒さとヒートショック

シャワーだけの入浴にもメリットはあるものの、急激に体を温め、お風呂から出た後は急激に体を冷やすことからヒートショックのリスクがあります。ヒートショックにおける年間死亡数は17,000人にも及び、この数字は交通事故死者数の約4倍にもなるのです。

そもそもヒートショックは、急激な温度変化によって引き起こされる身体へのストレス反応です。例えば熱いシャワーで体を温めた後、寒い脱衣所に出ることで、血管が収縮・拡張し、心臓への負担が増加して心筋梗塞などのリスクが高まります。これを防ぐには、入浴の方法に工夫するのと脱衣所を暖めるのがポイントです。

2.これなら安心 冬でもシャワーだけの対策方法

 

冬でもシャワーだけの人は、シャワーの浴び方や入浴後の対策が重要です。ここからは、ヒートショックを防ぐシャワーの浴び方について見ていきましょう。

2-1.浴室は事前に温めておく

シャワーを浴び始める前に、浴室内を快適な温かさにしましょう。

脱衣を始める前に、シャワーを開いてお湯が出ている状態にします。蛇口を開けてお湯を出しておくだけでも、浴室内の温度は上げられます

ただし、単にお湯を蛇口から出しても十分な暖房効果は期待できません。浴室を効果的に温めるには、できれば高い位置からシャワーを使ってお湯を出し続けるのがポイントです。これにより、高い位置から発生する蒸気が浴室全体に行き渡り、お風呂内が均等に温まります。

また、壁に直接お湯をかけるのもポイントです。体にお湯をかける前に壁にお湯をかけておけば、浴室全体が均一に温まり、ヒートショックを防ぐ手助けになります。

2-2.足湯をしつつシャワーを浴びる

 

ヒートショックを予防するためには、足湯とシャワーを組み合わせる方法がおすすめです。

足湯は手軽に自宅で試せる上、足だけを温めることで全身が心地よく温まります。バケツや洗面器があれば手軽にできるのも魅力です。

足湯+シャワーのやり方

  1. 足首まで浸かる深さのバケツや洗面器を用意する
  2. シャワーを出して熱めのお湯をバケツの半分ほどまで貯める
  3. 足をつけたままシャワーを浴び、洗髪なども同様に行う

足湯の効果的な温度は約42度~43度、10分~20分程度つかるのがおすすめです。シャワーを浴びつつ足湯を用いることで、驚くほど体が温まります。また、足湯も体を濡らす前に準備するのがポイント、脱衣をする前に熱めのお湯をバケツにはっておきましょう。

2-3.タオルをかけてシャワーを浴び続ける

シャワーを浴びる際に、肩に浴用タオルなどを掛けて浴びるのもおススメです。「蒸しタオル」といった方法があるように、タオルにお湯が含まれると温かさをキープできます。シャワーのお湯が直接タオルにしみ込み、それが肩にかかることで温かさをキープしつつ、よりリラックスした入浴が可能です。

2-4.首から背中にかけてのエリアを温め続ける

シャワーを浴びる時は、首から背中にかけてしっかり温めるようにかけましょう。このエリアには体を温めるツボがたくさんあり、首の裏を温めることで全身の冷えを予防できます。

また、冬のシャワーは基本的に出しっぱなしにしましょう。お湯がかかっていない時間は濡れた体が冷えるだけでなく、浴室内の温度も下がるのでヒートショックの原因になります。

ちなみにシャワーを出し続けて入浴するのと、お湯をためて入浴した場合のガス料金の差額は、1人暮らしだと毎月5001000円程度、4人家族だと500円程度お湯をためたほうが高いと言われています。家族が多い場合、お湯をためたときと大きな差額はないので、たまにはじっくりお湯に浸かるのもいいでしょう。

3.ヒートショックを防ぐ シャワー後の冷えを予防する方法

 

ヒートショックは寒い脱衣所から熱いお湯に入るときが危険です。しかしシャワーだけの場合、ぬるめのお湯を徐々に脚にかけることでリスクを回避できます。しかし、シャワー後に急に寒い脱衣所に出るのは危険です。ここからは、シャワー後の冷えを予防する方法について紹介します。

3-1.体は浴室内で拭こう

ヒートショックを防ぐには、濡れた体を浴室内で拭くのがポイントです。

浴室内でシャワーを浴びると、お湯が水蒸気に変わり、浴室の中は飽和水蒸気状態になります。そのため、浴室にいる間は体に付いた水滴がほとんど蒸発しません。しかし湿度の低い脱衣所に出た瞬間、体についた水滴は蒸発し、これが体温も奪ってしまいます。

そのため、体を冷やさずに体を拭くには浴室で体を拭くことです。シャワーを浴び終わったらすぐに体を拭き、蒸発していた水滴を取り除くことで、体感温度が向上し、寒さを感じにくくなります。可能であれば、浴室内にタオルを置いておくとスムーズに拭けるでしょう。タオルなどを引っかける場所にビニールをかけ、中にバスタオルを置けば浴室内でスムーズに体が拭けます。

3-2.脱衣所は簡易ストーブなどで温めておく

 

もはやヒートショックを防ぐ方法として常識なのが「脱衣所を温めておく」ことです。入浴後、浴室から出ると一気に寒さが身にしみることがあります。特にシャワーだけの場合は、お風呂ほど体が十分に温まらないため、急激な体温の低下が感じられます。

ヒーターや温風機などを利用して、脱衣所の温度を快適なレベルに保ちましょう。新しい住宅には脱衣所に浴室乾燥機が備わっていることも多いです。そうでない住宅の場合も、最近では後付けできる浴室暖房器具が増えているので、設置を検討しましょう。また、外出着や暖かい部屋着をすぐに着られるよう、脱衣所には収納やハンガースペースを充実させるのもおすすめです。

3-3.髪はすぐ乾かし、足首と手首を冷やさない

濡れた髪は体温を奪い、寒さを感じやすくなります。ヒートショックを防ぐためにも、シャワー後は髪を素早く乾かすことが大切です。濡れたままの髪を放置せず、ドライヤーを使用して髪全体をしっかりと乾かしましょう。特に髪の毛根や頭皮を重点的に乾かすことで、寒さの軽減につながります。

また、手首と足首は体温の発散が早い部位です。シャワー後、これらの部位が冷えると、全体の体感温度が下がりやすくなります。タオルや衣類などで手首や足首をしっかりと包み、冷やさないようにしましょう。特に寒冷地域や冬季は、手首や足首を保温することで全身の温かさを維持できます。

4.まとめ

 

冬のお風呂はなるべくゆっくり湯船に浸かりたいものですが、シャワーだけを浴びて快適に過ごす方法もあります。特に断熱の良い家であればお風呂場の温度差も緩和されているため、さほどリスクはないでしょう。

しかし常にお風呂場が寒い、冬場は部屋の温度がグッと下がるといった家は注意が必要です。まずは脱衣所に小さなヒーターを置くなど対策をして、シャワー後の冷えを和らげましょう。そして、浴室内で体を拭くだけでも、寒さの体感はだいぶ減ります。今日紹介した工夫を組み合わせ、冬のシャワーを安全かつ快適に過ごしましょう。

1階2階の温度は違う|季節によって違う心地よく眠れる部屋

戸建てに住む人の多くは「1階と2階の温度が違う」のを感じているでしょう。多くの場合、日当たりの良い2階は春や秋、冬は温かくて快適だけれど、熱気の溜まった夏の2階の暑さはたまりません。エアコンなしではとても眠れず、光熱費に悩まされる家庭も多いでしょう。
季節によって同じ家の中でも、1階と2階では心地よいと感じる部屋は違います。この記事では、1階と2階の部屋の温度の違いや、心地よく眠るための対策などについて詳しく紹介します。

1.1階2階の温度は違う

基本的に、1階と2階の温度は違います。特に夏の2階はとにかく暑く、日中は過ごすことができないといったお悩みも多いです。同じ敷地内にあるのに、なぜ1階と2階でここまで温度差が出るのでしょうか?

1-1.なぜ2階のほうが暑いのか?

1階と2階の温度差が生じるのは、建物の構造や自然条件によるものが原因です。下表は2階が暑くなってしまう理由について解説したものです。

階層ごとに熱伝導が違うから建物の床、壁、天井などは断熱材で仕切られているため、1階と2階の熱伝導が異なる。夏は外部からの熱をもろに受けてしまうため、どうしても2階の方が暖かくなりやすい。
屋根と太陽の影響2階は通常、1階よりも屋根に近く、屋根が太陽の熱を吸収し、部屋を急速に暖める。また、窓や壁の配置により、日中に2階の部屋が太陽光をより多く受けるため、暑くなる
空気の対流と通気性によるもの2階の部屋の通気性が悪い場合、熱がこもりやすくなり、暑さが蓄積されてしまう。
遮熱材や断熱材の不足建物の遮熱材や断熱材が十分でないと、外部の気温変化が部屋内の温度に大きな影響を与える。特に2階の屋根裏空間の断熱が不足すると、部屋の温度が急激に上昇しやすい。
外部の気象条件外部の気象条件も温度差に影響を与える。日照時間、湿度などが1階と2階で異なることがあり、温度差を拡大させる

こうした要因から、一般的な戸建ての家は1階よりも2階のほうが暖かいです。温度差を緩和するためには、適切な断熱材の設置や遮熱材の利用がポイントです。

1-2.3階建ての部屋 階数ごとの温度の違い

戸建ての場合、1階よりも2階、2階より3階の部屋に上がるほど気温は上昇します。外の気温が30度の日に建築家が1階~3階の床の温度を調べたところ、次のような温度の差が出ました。

1階27.4度
2階28.5度
3階32.5度

表を見ると、暑い日でも1階のほうが過ごしやすいのが分かります。特に3階の気温は外よりも暑く、1階との温度差は5度以上あるのが分かります。夏の暑い時期には下層階で過ごしたほうが快適で、エアコンの光熱費も抑えることができるでしょう。

2.1階と2階の温度の違いを利用した過ごし方

のように、戸建ての場合1階と2階では温度に差が生じ、特に夏場は2階で過ごすのがキツイです。こうしたことを踏まえると、季節に応じて過ごす部屋を変えてみるのも良いでしょう。

2-1.季節ごとに寝る場所を変えてみる

夏の暑い夜は、1階で寝てみるのもおすすめです。普段は2階の寝室で寝る人も、夏の間は1階に布団を運んで寝るといった計画を立ててみましょう。


季節ごとに寝る場所を変えるメリット

質の良い睡眠が取れる1階は通常、2階よりも涼しいため、夏は1階で寝るのがおすすめ。夜間に窓を開ければ自然の風を取り入れやすく、涼しい空気が1階の部屋に滞まるため、快適な睡眠が取れる
光熱費の削減1階で寝たほうが2階より涼しく、エアコンの使用を最小限に抑えられる
安全性も高い1階の部屋は非常時に建物からの脱出が容易で、地震や火災などの安全面からもメリットがある

これらのメリットから、夏場には1階で寝ることがおすすめです。2階より室温が低く、快適で静かな環境で眠れるため、夏にありがちな「暑苦しい夜からの開放」も期待できるでしょう。またエアコンの使用を最小限に抑えることで、省エネルギーにも貢献します。ただし、冬季には逆の状況となり、2階の部屋が快適な寝室になることも多いので、季節に応じて部屋の使い分けをしましょう。

2-2.冬は日当たりの良い2階のほうが快適

夏場は暑くて寝苦しい2階ですが、冬の時期は2階のほうが快適なケースが多いです。まず2階のほうが日光を効果的に取り入れられることが多いため、自然と室内温度を上昇させ、暖房の必要を減らすことができます。
また、暖められた空気は下から上に上昇します。特に吹き抜けのある家は1階で作られた熱が上昇しやすいため、2階は効率的な暖房効果があります。そのため冬は2階で寝たほうが快適な温度環境を維持でき、快眠もサポートできるでしょう。
近年質の良い睡眠が取れないと悩む人も多いです。季節ごとに寝室を変えるのは少々面倒なこともありますが、毎日の健康を維持するためにも季節に応じて寝室を変えてみてもいいでしょう。

3.1階と2階の温度差を減らす方法

このように快適な生活を送るためには、季節に応じて寝室を2階から1階に変えるといったことがおススメです。
しかしいちいち寝室を変えるのは面倒、という人もいるでしょう。ならばそもそも1階と2階の温度差をなくせばいいのではないでしょうか。
戸建てにおいて、完璧に1階と2階の温度差をなくすのは難しいです。しかしちょっとした工夫で温度差を縮めることはできます。ここからは、その具体的な方法を紹介します。

3-1.2階は風の通り道を意識する

夏の2階は窓を開けて新鮮な空気を取り入れ、室内の空気を循環させましょう。特に夜間や涼しい時間帯に窓を開けると、室内外の温度差をうまく利用できるため、部屋の冷却に効果的です。対角線上にある窓を開けるのを意識しましょう。
また、うまく風を入れられないときは、サーキュレーターや扇風機を活用しましょう。サーキュレーターを使えば2階に溜まった熱い空気を循環させ、熱気を分散させられます。

3-2.カーテンを厚手に、シェードで日よけを作る

日よけを利用して2階の室内温度を下げる方法もあります。まずは2階の窓には厚手のカーテンを取り付けましょう。厚いカーテンは冬場に温められた空気が室外に放出されるのを防ぐだけでなく、夏場でも効果を発揮します。厚みのあるカーテンが、直射日光を遮り、室内温度の上昇を抑えてくれます。また、ブラインドやシェードを使って日光を遮断しましょう。たった1枚のシェードを貼るだけでも室内の温度上昇を防ぎ、温度の上昇はもちろん家具や床の日焼けを防ぐ効果もあります。

3-3.ベランダに打ち水をする

ベランダに打ち水をすると、水が蒸発することで周囲の温度を下げます。なるべく床だけでなく、壁にも水を噴射しましょう。これにより、水がしっかりと2階のベランダや壁表面に付着し、蒸発による冷却効果を高めます。打ち水は通常、夏の暑い日に効果的です。特に日中の高温時に行うと、室内に熱気が入るのを防ぎ、部屋の温度を下げる効果もあります。

3-4.遮熱シートを貼る

外部からの熱を遮断するために、2階の窓ガラスに遮熱シートを貼るのもおすすめです。遮熱シートは日光を反射し、部屋内に熱を取り込ませない効果があります。これにより、2階の温度上昇を軽減できます。
また、本格的な遮熱シートを貼るリフォームを検討してもいいでしょう。リフォーム会社などに依頼し屋根裏などに遮熱シートを貼ってもらうと、部屋の温度が10度ほど下がるケースもあります。価格はシートの種類や業者によって異なるものの、内側から屋根裏に貼る場合は1㎡あたり5,000~7,000円、屋根の上に貼る場合は1㎡あたり15,000円~2,5000円程です。コストをかけてしっかり遮熱材を家に施したほうが、光熱費のランニングコストを抑えられます。

まとめ

1階と2階の温度差は、建物の構造、外部環境や熱伝導など複数の要因によって影響を受けます。そのため夏季には涼しい1階で寝ることがおすすめで、季節によって寝室を移動するのも検討してみましょう。
また、1階と2階の温度差を減らすには、次の対策が有効です。
 • 夏の2階の部屋は風の通り道を意識する。
 •厚手のカーテンを使い、ブラインドやシェードで日よけを作る。
 • ベランダに打ち水を行い、周囲の温度を下げる。
 • 窓に遮熱シートを貼るなど、外部からの熱を遮断する
これらのアプローチを組み合わせることで、1階と2階の温度差を最小限にし、快適な居住環境を実現できます。快適な睡眠を取りたい人は特に、季節に合わせた適切な寝室の選択と温度調整方法を取り入れていきましょう。

塗料の色によってどんな違いが出てくる?家の外壁の色選びについて

新築でもリフォームでも家の印象を大きく左右するのは外壁の色です。デザイン同様に外壁の色には流行がありますし、それぞれの色によって家の品質への影響も違いが出てきます。また、外壁の色は、建物全体の印象を大きく左右し、周囲の環境と調和させたり、個性を出したりすることもできます。そのため、外壁の色の選択は勢いで選ぶのではなく、ある程度慎重に検討するのがポイントです。ここでは後悔しない外壁の色選びや、人気色それぞれが持つ特徴などを紹介します。

1.外壁塗装の色選びのポイントは4つ

家の顔ともいえる外壁塗装の色選び、新築にせよリフォームにせよ、色選びには以下4つのポイントを押さえることが大切です。

  1. 好きな色を基準に汚れにくい塗料を選ぶ
  2. 色の持つ特性を理解する
  3. ランニングコストも重視する
  4. 景観にも配慮する

これらがどういうことなのか、1つずつ見ていきましょう。

1-1.好きな色をベースに汚れにくい塗料を選ぶ

外壁の色は家の印象や個性を表現するのに重要です。建物の外観がどのように見えるかは、居住者の好みに合った色を選ぶことから始まります。自分や家族が気に入る色を選ぶことで、住み心地や気分もアップするでしょう。

ただし外壁塗装においては、好きな色を選ぶだけでなく、汚れにくい塗料を選ぶことも重要です。機能性の高い汚れにくい塗料は、外壁を美しく保ち、定期的なクリーニングやメンテナンスの負担を軽減します。

汚れにくい塗料の一例

  • 水系ファインコートシリコン
  • ラジカル制御アクリル
  • サイディング
  • ALC外壁

1-2.色の持つ特性を理解する

外壁塗装で使われる色は、日常で使う小さなものとは印象が異なります。例えば黒い洋服は年齢を問わず多くの人が着用しやすいですが、外壁に黒を使用すると、全体的に暗すぎる印象にもなるでしょう。

そのため、外壁塗装の色選びは、色それぞれが持つ特性を理解した上でイメージするのが重要です。

白(white)明るさと清潔感があり、開放的な印象を与える。熱を吸収せず、暑い気候に適している。
黒(black)高級感や洗練された印象がある。強いコントラストを生み出し、建物を際立たせる。
グレー(gray)モダンで落ち着いた印象を持つ。
汚れが目立ちにくい
ベージュ(beige)自然や温かさを表現し、落ち着いた雰囲気を持つ。汚れが目立ちやすいが、定期的なクリーニングで美しさを保てる。

1-3.家の外壁は色だけでなくランニングコストも重視する

外壁塗装選びは、家を維持するランニングコストにも直結します。例えば昔ながらのアクリル塗料を選んだ場合、とりあえず見た目はキレイになるものの、断熱性や遮光性、耐久性は少ないです。そのため数年経つとメンテナンスが必要になり、遮光性も低いことから夏はエアコンの光熱費が高くなるでしょう。

ならば、最初から耐久性のある塗料を選んだほうが外壁の色は長期間美しい状態を保ち、メンテナンスコストは掛かりません。また遮光性の高い外壁塗料にすれば、建物内部の温度上昇を抑え、冷暖房のランニングコストも抑えられます。

1‐4.景観にも配慮する

周囲の景観や自然環境に合った色を選ぶことで、建物が自然に溶け込み、調和を保ちます。山間地域では自然の緑や茶色に近い色が適して、都市部ではシックな色合いがマッチするかもしれません。

また、住宅がある地域によっては選べる色が限定されているケースもあります。特に歴史的な地域や風景の重要地区では、建物の外観がその地域の伝統や美観に合致するように求められます。このような場合、建物の色を真っ赤にする、ピンクにするといったことはできません。外壁の色を選ぶ際には、地域の特性や景観に調和した配色を検討することが重要です。

2.家の外壁人気の色トップ5を紹介

外壁の色選びに悩んでいるなら、近年人気の色を参考にしてみましょう。一昔前には黒を外壁に使うのは不吉だなどと言われ考えられなかったのですが、現在ではモダンで高級感がある色として人気です。ではさっそく、外壁塗装の人気色第5位から紹介します。

2-1.第5位 ネイビー

ネイビーは深みのある青色で、シックで落ち着いた雰囲気を持っています。「ブラックはちょっと暗すぎる」と悩む人におススメの色で、個性的かつ高級感のある色として人気です。

外壁塗装ネイビー色のメリット、デメリット

メリット高級感と洗練された印象を与えてくれる。
コントラストを生み出し、他の要素との組み合わせが容易
熱を遮断しやすく、冷涼な気候に適している
デメリット汚れが目立ちやすいことがあり、定期的なクリーニングが必要
汚れにくい塗料を使う必要がある

2-2.第4位 ブラック

高級感とモダンな印象をかもし出すブラックは、ここ10数年の間に人気になっている外壁の色です。

ブラックは建物を引き締め、際立たせるのに効果的です。リフォームでも選ばれることが多く、これまでの家の印象をガラリと変えることができます。

外壁塗装ブラック色のメリット、デメリット

メリット高級感と洗練された印象を与えてくれる。
コントラストを強調し、建物を際立たせる。熱を遮断しやすく、冷涼な気候に適している
デメリット汚れや傷が目立ちやすい
環境周辺によっては悪目立ちする
汚れにくい塗料を使う必要がある

2-3.第3位 ホワイト

ホワイトは昔から多くの家に使われる定番色。明るく清潔感のある色なので、外壁に使うと広々とした印象を与えてくれます。どの色にもマッチするためデザインしやすく、森林が近い環境にある家や、住宅街にある家でも違和感がありません。

外壁塗装ホワイト色のメリット、デメリット

メリット明るさと清潔感を提供し、建物内部の温度上昇を抑えられる。
一般的なスタイルや環境に合わせやすい汎用的な色。
デメリット汚れが目立ちやすく、定期的なクリーニングが必要
汚れにくい塗料を使う必要がある
あまり個性がない

2-4.第2位 ライトグレー

ライトグレーはモダンで落ち着いた印象を持つ中立的な色です。

暖色系と寒色系の両方に調和しやすいため、どのような家にも使いやすくデザインしやすいです。

外壁塗装ライトグレー色のメリット、デメリット

メリット高級感と洗練された印象を与えてくれる。
コントラストを生み出し、他の要素との組み合わせが容易
熱を遮断しやすく、冷涼な気候に適している
デメリット汚れは目立ちにくいものの、他の家との区別がつきにくいやすい
個性を出しにくい

2-5.第1位 ベージュ

ベージュは日本の戸建て住宅においてもっとも使われている色です。昔から定番の人気色であり、その理由は白よりも汚れにくいものの、白のように清潔感があるからです。自然な雰囲気を持つ中立的な色なので、どの家にもマッチし違和感がありません。

外壁塗装ベージュ色のメリット、デメリット

メリットモダンで洗練された印象を与えてくれる。
他の要素との組み合わせが容易。
熱を吸収しにくく、汚れが目立ちにくいため、メンテナンスがしやすい。
デメリット汚れは目立ちにくいものの、他の家との区別がつきにくいやすい
個性を出しにくい

3.この色は失敗だった…家の外壁を後悔している事例

外壁塗装の色選びを後悔する事例も少なくありません。最後に失敗例とその対策を紹介するので、後悔しない色選びにつなげていきましょう。

・想像した色と違った

手元に見た色の見本と、実際の外壁塗装の色がイメージと違う事例は多い。見本の色はA4サイズのものをもらい、実際に壁に添えてイメージを膨らませるのが重要。

・周囲の建物や景観から浮いてしまった

好きな色で個性を出そうとしすぎると、周囲から浮いてしまうことがある。特に建物の外観が地域の伝統や文化に合わない色を選んでしまうと、地元コミュニティからの反発にもつながるので要注意。 地域の規制や景観をよく観察しよう。

・外壁が不均一に仕上げられ、色のムラが目立った

業者選びに失敗するとトラブルに発展する。値段ばかりを重視して業者選びをすると失敗しやすいので要注意。近隣からの口コミも参考にし、ホームメーカーの公式塗料を使っている業者を選んだほうがいい。

外壁の色は長期間にわたり建物の印象を左右するので、慎重な検討が必要です。ときには専門家の助言を受け、その色にあうデザインのアドバイスをもらったうえで適切な塗装技術を確保しましょう。

4.まとめ

家の外壁の色選びは、建物の外観において大きな役割を果たします。自分や家族が好きな色を基準に選んでも良いですが、気候条件に合わせた色を選び、エネルギー効率を最適化しましょう。また、建物のスタイルやデザインとの調和を図り、地域社会との調和を保つのも重要です。その上で汚れやメンテナンスの手間も考慮し、汚れにくい塗料を選んだほうが後のメンテナンスコストも節約できます。

外壁の色は建物の個性を強調するのにも重要です。今回紹介した色選びのポイントを重視し、理想的な外観を実現しましょう。

そこに理想のわが家は建てられる?土地探しは建築条件に注目すべき

家を建てるための土地選びでは、建築条件にも目を向けなくてはなりません。多くの人は土地選びの際に、交通の利便性や敷地面積、人気のあるエリアだけを注視していませんか?

宅地には建築の制約や条件が付随しており、自分が思い描く理想の家を実現できない可能性もあります。今回は、土地を選ぶ段階で考慮すべき条件や進めるべきステップについてお話しいたします。

1. その土地で本当に希望の家は建つ?

土地選びの際、エリアや広さ、最寄り駅からの距離だけを基準にしていることはないでしょうか。土地選びには様々な条件や制約が存在し、法規制や地盤環境、土地の形状と特性などがあります。希望の家を建てられるかどうかは、これらの要因によって大きく左右されます。後で後悔しないためにも、土地を選ぶ際に押さえてほしい条件を5つ紹介します。 

1-1.希望の階数で建てられるかをチェック

住宅の建設において、建物の高さは土地の特性によって制限されることがあります。この制限は一般に「絶対コード」と呼ばれ、建物の高さを最大10メートルまたは12メートルに制限するものです。また、「斜線制限」という法規も存在し、これは建物が敷地の端から一定の角度内に収まるようにする義務があります。特に、3階建てなどの多階層の住宅を計画している場合は、これらの規制に注意が必要です。

1-2.土地の広さだけでなく、建物の広さはどうか

住宅に関連する用語には「建ぺい率」と「容積率」という数値が使われます。これらは土地の面積に対して建物が占める割合や、建物の延べ床面積の割合を示すものです。

例えば、敷地の面積が100m²で建ぺい率が50%の場合、建物を建てることができる面積は50m²までと制限されます。つまり、土地を選ぶ際には広さだけでなく、希望する建物の広さも考慮する必要があります。

建ぺい率・・・敷地面積に対する建築面積の割合

容積率・・・敷地面積に対する建築容積の割合

延べ床面積・・・建物の床面積の合計

例えば、敷地の面積が100m²で建ぺい率が50%、容積率が150%の場合、以下のように計算されます。

建物の面積制限: 100m² × 50% = 50m²

建物の容積制限: 100m² × 150% = 150m²

これにより、建物は50m²までの面積で、150m²までの容積で設計する必要があります。土地選びでは広さだけでなく、建物の広さも考慮した計画が必要です。

1-3.地盤はしっかりしているか

初めて見たときに平坦に見える土地でも、実際には場所によって地盤の状態が異なることがあります。地盤が軟弱な状態だと、建物の重みで沈下が起こったり、地震の際に傾いたりするなどの問題が生じる可能性があります。特に、以前は畑や田んぼだったような住宅地としての利用歴の少ない土地の場合は、事前に適切な対策を講じることが重要です。建設会社など専門家に相談して、地盤の状態を確認し、必要な対策を行いましょう。

1-4.周囲の環境は今後どうなっていくか

土地には、その用途に基づいた条件が設けられています。住居専用地域や工業地域など、さまざまな用途に分けられ、それに適した利用が求められています。例えば、商業地域では将来的に大型店舗や遊技施設などが近隣に建つ可能性があります。また住居専用地域でも、学校や公共施設の建設であれば認められているのがほとんどです。

ずっと静かな環境で過ごしたいといった希望があるのなら、購入する土地周囲の環境の変化や、将来の展望を考慮することが重要です。将来的に近隣にどのような施設や建物が建つのか、地域の規制や計画についても可能な限り調べておきましょう。

1-5.工事費用は抑えられるかどうか

工事費用は、地盤の状態だけでなく、他にも多くの要因が影響します。たとえば、狭い道路しかない場合、資材の運搬に追加費用がかかることがあります。また、上下水道が近くにない土地では、引き込み工事費用が必要になるでしょう。環境によって工事費用を増加させることは多いです。

工事費用を抑えるには、事前にこれらの状況を理解し、住宅メーカーなどと相談してから予算を決めることが大切です。工事にかかる潜在的な追加費用を事前に把握し、予算を適切に設定することで、予想外の支出を避けることができます。

2. 土地探しの段取りを把握して行動しよう

土地探しは、いきなりインスピレーションで選んでしまうのは危険です。確かに探すうちにピンと来る土地はあるものの、ある程度段取りを取ってから決めないとのちのち後悔することも。ここからは、失敗を防ぐ土地探しの段取りを順番に紹介します。

2-1.まずは建てたい家のイメージを掴む

まずは希望するエリアを絞ると同時に建てたい家のイメージを固めましょう。

“土地探しで具体的に行うこと”

理想の家のイメージを明確にする・・・まず、どのような家を建てたいかを具体的にイメージしましょう。部屋の配置、外観、庭のスペースなどを想像します。

希望エリアを絞る・・・建てたいエリアを絞り込む際に、交通の便や生活環境を考慮しましょう。また、そのエリアでの土地の相場や空き地の情報も調査しておきます。

住宅情報を収集する・・・雑誌やホームページなどで、さまざまな住宅情報を収集しましょう。これによって、新しいアイデアやトレンドを知ることができます。

家族で話し合い・・・収集した情報を家族で共有し、お気に入りの要素やアイデアについて話し合いましょう。これによって、家族の希望や意見を取り入れた計画が立てられます。

費用を把握し、建築費用の感覚をつかむ・・・実際にかかる費用を詳しく把握しましょう。建築費用や土地の購入費用、付帯する諸費用などを予算内で考慮し、計画を進めていきます。
事前に複数の建築業者から見積もりを取り、建築費用の目安をつかんでおきましょう。

あまりイメージがつかめない場合は、住宅情報の雑誌やホームページなど色々な場所を検索し、お気に入りをみつけておくのもおすすめです。その上で実際にかかる費用を把握しながら、建築費用の感覚もつかんでおきましょう 。

2-2.希望エリアの土地価格相場をチェック

希望するエリアを絞り込んだら、そのエリアごとに土地の価格相場を、検索サイトや専門雑誌などで調べてみましょう。土地の相場は、最寄りの駅からの距離や周辺の環境、土地の広さや形状によって異なります。また、建てたい家の工事費用と組み合わせて、家づくり全体の予算を検討しましょう。希望するエリアの土地価格を調査することで、将来的な予算や資金計画がより具体的になります。

2-3.住宅メーカーの候補を決める

予算の全体像を把握したら、次に住宅メーカーを選びます。間取りのプランや費用だけでなく、技術力や対応力、そしてアフターフォローなど、さまざまな観点から複数の候補を比較することが重要です。これによって、建てたい家の具体的なイメージが明確になり、さらに土地の条件もより具体的に絞り込めます。

2-4.条件の優先順位を決める

土地選びにおいて、すべての理想的な条件を一度に満たすことは難しいです。そのため、自身の希望を優先順位付けし、条件を柔軟に調整しながら予算との調和を図ることが重要です。以下に具体的なポイントを挙げてみました。

優先順位となるポイント具体例
自身のライフスタイルを考える休日の過ごし方や活動の好み、日常のリラックス方法を考慮する
優先順位を付ける生活スタイルのポイントに基づいて、条件を優先順位付けする。例えば、休日を家で過ごしたい人なら、居住空間や設備の快適さが優先される
予算とのバランスを取る希望の条件と予算のバランスを取りながら、重要な条件を選ぶ。必要に応じて、条件を調整すること。
住宅メーカーなどに相談優先順位を考慮した条件リストをもとに、専門家と協力しながら土地選びを進める。プロのアドバイスを受けながら、最適な選択肢を見つけること

上記のように、希望する生活スタイルに応じて優先順位を付けることが、最適な土地選びのヒントになります。

2-5.住宅メーカーと一緒に土地を探す

建物と土地の優先順位が明確になったら、具体的な土地の選定を行いましょう。インターネットや不動産会社だけでなく、住宅メーカーも豊富な情報を持っていることがあります。住宅メーカーを協力者として味方につけ、候補の土地が希望の家を得られるか判断してもらいましょう。住宅メーカーのサポートを受けて土地選びを進めることは、将来の問題を回避する助けとなります。

3.まとめ

土地選びは勢いで行うと失敗することも多いです。実は日当たりが悪かった、安いと思ったら諸費用が莫大にかかったなど、後悔する例も少なくありません。

そんなことにならないよう、土地選びは建築条件をしっかり確認しながら手順を踏み、優先順位を決めながら選ぶことが大切です。運命的な土地を見つけたら、住宅メーカーとしっかり相談し、条件や費用面で希望の家を建てられるか確認しましょう。快適な家づくりを目指すためにも、土地選びは計画的に進めていきましょう。

のびのびできる天井の高い家 高機密高断熱の家なら実現できる

戸建ての新築住宅におけるデザインでは、天井の高い家が増えています。その証拠に、住宅メーカーのCMでは必ずと言っていいほど天井の高いリビングや玄関の吹き抜けが登場します。

圧迫感の少ない高い天井は誰もが憧れる空間です。しかし、高い天井は冷暖房が効きにくいといったデメリットもあり、そのデメリットを解消するには「家の気密性」がポイントになります。ここでは、これから天井の高い家を建てる人はもちろん、すでに天井の高い家で不便さを感じている人へのアドバイスも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

1.天井の高い家のメリット

ハウスメーカーによる戸建て住宅の天井の高さにおける競争が熾烈です。

昔の天井の高さは 220cm が主流でしたが、今では280cm、もしくは3mもの天井の高さをアピールするハウスメーカーが増えています。

なぜここまで天井の高さを推しているのか?それには、天井が高いことにより次のようなメリットがあるからです。

1-1.家の解放感がアップする

まず、天井が高いと視覚的な空間の広がりを感じられます。天井が遠くまで広がっている光景は、部屋全体を広々と感じさせます。心理的にも圧迫感が軽減され、気分的にも良くなるでしょう。たとえ土地の狭い狭小住宅であっても、天井が高いことで部屋全体が広く見える効果があります。

また、高い天井は建築デザインや内装のアレンジの幅も広げます。天井の高さに応じて、大きな窓や壁面にアートや装飾を配置することもできるでしょう。上部に空間があることで、豪華なシャンデリアやインテリアアイテムも手軽に取り入れられます。

1-2.風通しが良くなる

天井が高いと、室内における風の流れがスムーズになります。高い天井は空間を広く感じさせるだけでなく、上部に熱気や湿気がたまりにくくなるため、自然な風の流れが生まれやすくなります

また天井が高い家では、温かい空気が上に上昇し、冷たい空気が下に沈むという自然の対流効果が生まれます。暖房や冷房装置を使用している場合でも、高い天井によって暖かい空気や冷たい空気がより均等に広がり、室内の温度差を緩和します。とくにサーキュレーターなどを使うと効果的です。

このようなことから天井が高いと、湿気やニオイの蓄積も抑えることができます

1-3.採光効果の向上、照明や音響効果も上がる

天井が高いと、より自然光を取り入れられるうえ、照明効果、音響効果の向上にもつながります。

天井が低い家 天井が高い家
採光効果 限られた自然光の取り込みしかできない 多くの自然光を取り込めるため、部屋全体が明るくなる
照明効果 照明の範囲が制限される 取り付ける照明の選択肢が増え、光の範囲が広がる
音響効果 反響や残響が増えやすい 音が広がり拡散する。音響効果が高い

天井が高い家では、大きな窓や開口部を設けることができるため、より多くの自然光を室内に取り込むことができます。天井の高さによって光が広がり、室内全体が明るく照らされるため、採光効果が向上します。そのうえ照明器具を高い位置に設置することができるため、光が反射・拡散されて、室内全体をさらに明るくすることもできるでしょう。

また天井が高いと音響効果が向上します。これにより、音楽や映画鑑賞時には高い天井が臨場感も上げてくれるでしょう。

2.一方で天井が高いとデメリットもある

 

ただし、天井が高いことによって生まれる弊害もあります。以下は、天井が高いことで生まれる4つのデメリットです。

冷暖房効率の低下:

天井が高いと、室内の温度が上昇しやすくなる可能性があります。暖房や冷房の効果が天井の高さによって拡散されるため、効率が低下しやすいです。これを防ぐためには、シーリングファンやサーキュレーターを使う必要があります。

高いメンテナンスコスト:

天井が高い場合、天井や照明器具などのメンテナンスや修繕が難しくなります。高い場所へのアクセスや作業が困難であるため、メンテナンスコストや手間が増えるケースも多いです。

インテリアが下手だと殺伐とした印象になる

:天井が高いと、天井から床までの高さが増えます。家具や装飾品の配置を工夫しないと、上部の空間がなんだか殺伐とした印象に。効率的な空間利用が難しいと感じる人もいます。

照明の消費電力が上がる:

天井が高い場合、広い範囲を照らすために多くの照明器具が必要になるケースも。照明の消費電力が増加することで、電気代が上昇することも考えられます。

天井の高い家に住む場合は、上記のようなデメリットも考慮する必要があります。

3.天井の高い家にするには、家の気密性を上げることがポイント

 

天井の高い家が流行っている一方、高い天井は冷暖房の効き目が悪くなったり、照明の消費電力が上がったりするデメリットもあります。このような欠点を解消するには、家の気密性を高めることがポイントです。

これから天井の高い家を建てる人はもちろん、すでに天井の高い家で不便を感じている人も、ぜひ次の紹介する家の気密性を高める方法を実践しましょう。

3-1.樹脂製のサッシ、窓も気密性の高い製品にする

アルミサッシの場合は、ぜひ樹脂製サッシへの交換を検討しましょう。樹脂は金属よりも熱伝導率が低く、断熱性に優れています。そのため、樹脂製のサッシを使用することで、室内と外気の熱の移動を抑えることができます。さらに樹脂のサッシは、形状や色彩のバリエーションも豊富で、デザインの自由度が高いです。

また、窓も昔ながらの1枚だけのものではなく、複合ガラスや断熱ガラスがおすすめです。気密性の高い窓を選ぶことで、外気の侵入や室内空気の漏れを抑えることができます。これにより、天井の高い家でも冷暖房効果が向上し、エネルギーの節約にもつながります。

3-2.玄関ドアは片開きのほうが気密性は高い

片開きの玄関ドアのほうが、開閉時には一つのドアパネルがしっかりと閉まります。このため、開け閉めの際に外気や風が侵入しにくく、気密性が保たれます。その一方、両開きのドアでは、二つのドアパネルが開かれるため、開閉時に一時的に気密性が低下します。両開きのドアは車いすが通りやすいなど、バリアフリーの観点からメリットが高いです。しかし気密性の観点からいうとデメリットがあることを覚えておきましょう。

3-3.縦すべり窓や滑り出し窓を検討する

 

家の断熱性が劣る原因の多くは窓です。そのため近年では断熱性を上げるため「縦すべり窓」や「滑り出し窓」が増えています。

この窓は、窓の軸がスライドし、左右どちらか一方に回転する窓です。一般的な窓とは違い、スライドして開けることは基本的にできませんが、閉めた時の気密性が高いのが特徴です。部屋の明るさをアップしたいときには、縦すべり窓を同じ壁面に複数設置することも可能です。近年では気密性を重視した窓がどんどん開発されているので、ショールームなどに足を運んでみても良いでしょう。

3-4.高気密住宅にリフォームする

古い家の中には天井が高いのに、気密性が悪くて冬はとても寒いケースもあります。そのような家は、高気密住宅へのリフォームも検討しましょう。

家全体を高気密にリフォームするのは難しくても、せめて壁だけ、床だけといった施工でもある程度の効果はあります。以下は、高気密住宅にリフォームする際の大まかな価格と日程です。

費用の相場 工期
壁の断熱リフォーム 1万円~ / m2 2週間~
天井の断熱リフォーム 5,000 / m2 2日~
床の断熱リフォーム 5,000 / m2 2日~

費用や後期はあくまで目安であり、家の広さや施工内容によって異なります。例として、約60100平方メートルの屋根裏に断熱材を敷くリフォームの場合、は約15万円~30万円の費用が掛かることが多いです。

ただしコストをかけて高気密住宅にすれば、高い天井でも気温変化の影響を受けにくくなり、室内の気温を一定に保つことができます。冬でもトイレや浴室、玄関などの空間も温かく、建物内の気温差も少なくなるでしょう。ヒートショックのリスクも減ることから、健康面でもメリットがあります。

まとめ 天井の高い家は気密性が大きく関連している

 

天井の高い家は、さまざまなメリットをもたらします。高い天井は、空間の解放感や明るさを生み出し、心理的な快適さを提供します。また、天井の高さによって風通しも良くなり、室内の空気の循環が促進されるでしょう

しかしその一方でデメリットもあり、高い天井による熱の上昇や保温性の低下、インテリアの調和の難しさなどが挙げられます。

天井の高さを活かすためには、気密性が重要な要素です。気密性の高い二重窓や縦すべり窓の設置、樹脂製のサッシを導入したり、家全体を気密性の高いリフォームにする必要もあるでしょう。

天井の高い家は、快適な生活空間を提供する一方で、エネルギー効率や調湿性にも配慮する必要があります。これから天井の高い家を検討している人は、ハウスメーカーのいうメリットばかりを鵜呑みにせず、注意点も見越したうえで慎重に検討しましょう。