物忘れが多くなり、習慣でやっていたことができなくなっていく。歳をとると誰もがそんな時期を迎えます。高齢になった親に見守りが必要かも…と思ったらスマートホームを知っておいて損はありません。今回は、高齢化社会を支えるキーワードになりそうな「スマートホーム」とは何か、その取り入れ方などについて紹介します。

1.スマートホームとは何か


スマートホームとは、さまざまな家電をインターネットでつなぎ、スマホなどを通して操作する仕組みのことです。例えば高齢者の場合夏でも暑さを感じないことが多く、エアコンを付けないことで熱中症を起こす事故が絶えません。

しかしスマートホームを導入すれば、離れて暮らす子供でも親の家の室温をスマートホームで確認や操作ができ、例えば30度を超えたらエアコンを付ける」といった設定が可能です。直接親の家に行かなくてもいろいろな家電の遠隔操作が可能になるため、離れていても介護のサポートができます。

1-1.スマートホームでできること

スマートホームでできることは多岐にわたります。

スマートホームでできること 具体例
見守りカメラ 室内にカメラを設置しておけば離れた場所からでも親の様子が分かる
エアコンの設定 オンオフはもちろん、温度設定なども可能
テレビの設定 オンオフはもちろん、テレビを通してメッセージを送ることもできる
スケジュール管理 今日の予定を知らせたり、薬の時間を知らせたりできる
電気をつける、消す 一声かけるだけで部屋の電気の消灯が可能
誰が来たか確認できる インターホンにカメラを設置することで遠隔でも相手と話せる

例えば親が軽い認知症などを起こし、いつも薬を飲み忘れている場合。通常の介護では親のところに行って「薬を飲んで!」と叱ってしまうことも多いでしょう。しかしスマートホームの設備があれば、画面に「薬の時間です」といった表示が出るため、薬の飲み忘れを抑止できます。しかも親子の場合喧嘩になりがちですが、AIに言われると親も素直に従う傾向があります

1-2.スマートホームの価格や種類


価格が高そうなスマートホームですが「スマートディスプレイ」というAIアシスタントを搭載した端末をリビングに設置するだけでも、多くの場合機能を果たします。

AIアシスタントの一例

Amazonエコー:約9000円~

Google nest hub:約11,000円~

スマートディスプレイの価格は1万円程度で購入できます。そのうえでインターネット環境は必須ですが、モバイルWi-Fiなどを使えばネット代を毎月2000円程度で済ませることも可能です。連動させる家電にもAI機能が搭載されているとスムーズですが、かなり昔のエアコンでもリモコンの情報を設定することでスマートホームに対応できます

2.スマートホームを導入すればこんなことができる


スマートホームを導入した多くの人が満足感を得ています。少し前までスマートホームは生活の最先端を行くシステムとして注目されていましたが、いまでは離れて暮らす親の介護にも役立っています。

2-1.エアコンのスイッチを遠隔操作、高齢者の熱中症を防止できる

スマートホームで最も便利だと言われているのが、エアコンの遠隔操作です。これにより暑い日にはエアコンのスイッチを遠隔操作し、高齢者の熱中症を防止できます。

スマートホームでエアコンを操作する仕組

室温状況を感知
家族や介護者はスマートホームアプリやウェブポータルを通じて、室温の温度や湿度を知ることができる。
自動制御機能が働く 例えば、30度を超えた場合にはエアコンを自動的に起動できる。室温が設定された範囲を超えると、中央制御システムは自動的にエアコンのスイッチをオンにし、室温を調整する
遠隔操作が可能 遠隔から家の室温やエアコンの状態を確認し、室温や湿度調節が可能。また必要に応じて手動で制御することもできる
エアコンの異常を知らせる通知機能もあり スマートホームシステムは、特定の温度範囲を超えた場合やエアコンの故障など異常が発生した場合でも、家族や介護者に通知が送れる。これにより、問題が早期に発見され、適切な対応が取られる

高齢者の問題で最も多いのが、温暖化の進む日本での熱中症です。とりあえずエアコンのスマートシステムを導入するだけでも、家族は安心できます。

2-2.薬の飲み忘れ防止、スケジュール管理やテレビ操作も可能

スマートホームでは、特定の時間になるとディスプレイに薬の服用を知らせる機能があります。画面いっぱいに「薬は飲みましたか?」といった言葉が表示されることで、飲み忘れを防げます。また画面通知ではなく音声で知らせることも可能です。

またスマートホームアプリケーションは、家族や介護者がスケジュールをカレンダーアプリと連携させることができます。これにより「今日は10時よりデイサービス」といった連絡がディスプレイに表示され、重要なイベントや医療の予定なども管理できます。

2-3.もちろん通話も可能、セールスの撃退も

スマートホームには、音声通話やビデオ通話が可能なシステムが組み込まれています。これにより、高齢者は家族や介護者と直接コミュニケーションをとることができます。しかもその多くが「娘と話したい」といった一言でオンライン画面に切り替わるため、電話よりもスムーズです。

またインターホンにスマート機能を設置すれば、高齢者は画面を通じて部屋の中にいても訪問者と会話できます。仮に怪しげな訪問販売が来た場合もすぐに分かります。そのまま介護者に連絡をすれば、スマホを通して子供が来訪者と会話し、追い返すことも可能です。

3.スマートホームで得られるメリット

スマートホームとは、単に家電を遠隔操作できるシステムだけではありません。遠い場所に住む親の介護のために取り付けた結果、次のようなメリットを感じている人が多いです。

3-1.親子の争いが減る

親子の間では遠慮がないため、つい介護する方もされる方も感情的になってしまいます。

「どうしてエアコンをつけないの!?」「なんで言ったことをしてくれないの!?」など、子供が怒った口調になってしまうこともしばしば。そのたびに介護する側もされる側も悲しくなってしまうでしょう。

しかしスマートホームでAIによる通知を導入すると、親子間での争いが減ります。いつもはエアコンや薬のことばかり話していたが、スマートホームを導入した結果「昔のような雑談が楽しめるようになった」との声は多いです。

3-2.介護する側の自由な時間も増える

スマートホームがない時代、介護する側は遠方からでも駆けつけて親のサポートをするというのが当たり前でした。しかし働く人が増えて現代、いつでも親の元に駆けつけるのは難しく、行くたびにストレスを抱えていた子供も多いです。

しかしスマートホームの仕組みがあれば、センサーやカメラを通じて高齢者の状態を遠隔でモニタリングできます。さらにエアコンや照明、家電製品なども遠隔でコントロールできるため、子供が離れて暮らしていても、親の生活をサポートできます。これにより子供は自分の時間も増え、親に対しても優しく接することができるでしょう。

3-3.プライドを傷つけることなくサポートできる

親子間での介護は、どうしても争いが生まれます。その原因の1つに「親のプライド」があります。子供から「なんでこんなことも分からないの」と言われれば、親もカチンと来るでしょう。結果「自分でできる」と言って、子供のサポートを拒否してしまうケースもあります。

しかしAI表示や音声で知らせるサポートなら、プライドを傷つける心配もありません。例えば「おむつは付けた?」といったセンシティブな問いかけも、子供から言われるとプライドが傷つくものの、機械的に言われると素直に受け入れられます。スマートホームはこうした親子の感情的な問題も解決してくれます

4.高齢化社会をスマートホームで支えよう

スマートホームは、高齢者の尊厳を守りつつ、介護者にも負担をかけず、安心・安全な環境を提供できます。

人は誰もが歳を取るもの。認知症とまではいきませんが、歳をとると物忘れが多くなり、足腰の機能も衰えるためいつもできていたことが出来なくなります。たとえそのような親と一緒に住んでいても、一日中一緒にいて注意を払うことはできません。

そんなときこそ、まずはスマートディスプレイの導入からスタートし、アレクサなどに見守りのサポートをしてもらいましょう。薬の時間、今日の予定、玄関の鍵の開閉、エアコンの自動スイッチをサポートしてくれるスマートホームなら、介護する側もされる側も安心して生活できます。

参照https://life.saisoncard.co.jp/health/dementia/post/tokushu22/