24時間換気システムは、「取り付け費もランニングコストもかかる。換気ということは暖房で暖めた空気やクーラーで冷やした空気を外に逃がしてしまうのでは?」とデメリットに目が向きがちです。

 

しかし、このシステムが義務化しているのには大切な役割があります。今回は、24時間換気システムについて紹介させていただきます。

 

1.24時間換気システムとは?

24時間換気システムとは、その名のとおり、24時間体制で家の中の換気を行うシステムのことを言います。これには、室内の空気をきれいに保つことや、湿度を適度に守り結露を防止したりする効果があり、2005年の法改正で「新築住宅を建築する際には24時間換気システムを設置すること」が義務化されています。

 

一言に24時間換気システムといっても、その歓喜の種類は第一種換気方式、第二種換気方式、第三種換気方式の3つがあります。それぞれの換気システムの特徴を知っておくことが大切です。

 

1-1.第一種換気方式

第一種換気とは、給気と排気それぞれにファンを使用し、換気を行う方法です。

 

大きなメリットとしては、取り入れる空気の熱をコントロールしてくれるため、真夏や真冬など、外気温によって部屋の温度が左右されにくいという効果があります。デメリットとしては、設置、維持費、メンテナンスなどにおいて、ほかの換気方式と比べて一番コストがかかるという点です。

 

1-2.第二種換気方式

第二種換気は給気のみをファンで行う方式です。

 

ファンによって、強制的に給気を行うことで、自動的に家の中の空気が排気口から押し出され、元からあった空気は自然に排気されるという仕組みを取った換気方法です。第二種換気方式は一般住宅に使われることは少なく、主に病院や施設のクリーンルームなどに使用されることが多い換気方式となっています。

 

1-3.第三種換気方式

第三種換気は、第二種換気と逆で、排気のみをファンで行い、それによって自然と給気がされるという換気方法です。ファンで排気することによって、家の中の空気が減ってしまうため、それによって自然と給気口から新しい空気が入ってくることになります。一般家庭においては、この第三種換気方式が一番一般的に採用されています。

 

第三種換気方式の一番のメリットは、設置、維持、メンテナンスの面においてすべてほかの換気方式と比べるとコストが安いということです。一般住宅に一番取り入れられている理由は、このメリットが大きいからといえるでしょう。

 

特に、現代の住宅に多い高気密の家は、家の中の空気を逃がさない構造になっているため、あえて必要な分だけファンで排気をするという第三種換気方式がおすすめといわれています。ただし、この換気方法のデメリットとしては、給気の際に熱交換の機能はないため、真夏や真冬には暑いまたは寒いと感じることがある、といったことが挙げられます。

 

2.24時間換気システムはどうして必要?

2005年の法改正以降、家を建てる際には24時間換気システムが義務化されています。ではなぜ、24時間換気システムが義務化するまでに至ったのでしょうか。

 

2-1.24時間換気システムを設置することで期待できる効果

ここ数年では、建築技術が上がり、高気密の家の性能がどんどん上がってきています。それに伴い、逆にあえて換気をしっかりと行わなければ、家の中の空気の入れ替えができず、汚れた空気が滞留してしまうなどのトラブルも発生しかねません。

 

これらの背景をもとに、24時間換気システムを設置することが義務化されています。具体的にどのような効果が期待できるといわれているのか、主な理由を以下にあげます。

 

2-1-1.シックハウス症候群の予防

シックハウス症候群とは、家を建てる際の資材に含まれる化学物質が、住みだした後も家の中の空気中に排出され、そこに滞在してしまうことでその空気を吸った人がめまいや吐き気などの健康被害を起こす症状のことを言います。24時間換気システムが義務化されていない時代には、このシックハウス症候群が大きな社会的問題にもなりました。

 

24時間換気システムを行うことによって、建材などから出てくる身体に有害な物質を外に追い出し、家の中の空気中に滞留させない、人の身体にできるだけ取り入れられないようにするという効果が期待できるのです。

 

2-1-2.結露、カビの防止

冬場は特に、室内や家の基礎部分などの家の内部で発生した水蒸気は、適切に排出される場所がないとそのまま冷やされ、思わぬところで結露を起こしてしまいます。結露ができる状態が慢性化してしまうと、住宅はダニの巣窟になってしまったり、木の柱を腐らせてしまったりと、人にとっても家にとっても良いことがありません。

 

24時間換気システムを使うことで、空気の入れ替えと同時にこもった湿気も排出してくれるため、結露のできにくい環境にしてくれるのです。

 

2-2.24時間換気システムは止めてはいけない

空気の汚れや湿気の多さは目に見えるものではありません。だからこそ、逆に24時間換気システムの効果というのは実感することは少し難しいかもしれません。

 

そういったこともあり、「寒い」「換気するための電気代がもったいない」などの理由で24時間換気システムをわざと止めてしまう人の話も聞きます。でも、24時間換気システムは止めてはいけません。

 

前述のとおり、24時間換気システムは、シックハウス症候群の予防やカビ、結露の防止などといった、人にも家にも大切なことなのです。今の家は高気密となっており、自然に家自身が呼吸することは難しくなっています。そのため、「あえて家の換気をさせる」という意味で、2005年からシックハウス法で義務化されているほどなのです。

 

法律で義務化されているほどの理由がそこにはあるということを理解し、24時間システムを止めてしまうことのないようにしてください。

 

さいごに

24時間換気システムが義務化された裏側には、シックハウス症候群などの深刻な社会的問題から、家の中の結露や湿気に対するものまでさまざまな事情があってのものです。湿気の滞留は家の寿命も短くしてしまいかねません。

 

寒いなどの理由から、自己判断で換気システムを止めたりせず、しっかりと24時間換気システムを使用していくことが人にも家にも大切なのです。