家を建てるための土地選びでは、建築条件にも目を向けなくてはなりません。多くの人は土地選びの際に、交通の利便性や敷地面積、人気のあるエリアだけを注視していませんか?

宅地には建築の制約や条件が付随しており、自分が思い描く理想の家を実現できない可能性もあります。今回は、土地を選ぶ段階で考慮すべき条件や進めるべきステップについてお話しいたします。

1. その土地で本当に希望の家は建つ?

土地選びの際、エリアや広さ、最寄り駅からの距離だけを基準にしていることはないでしょうか。土地選びには様々な条件や制約が存在し、法規制や地盤環境、土地の形状と特性などがあります。希望の家を建てられるかどうかは、これらの要因によって大きく左右されます。後で後悔しないためにも、土地を選ぶ際に押さえてほしい条件を5つ紹介します。 

1-1.希望の階数で建てられるかをチェック

住宅の建設において、建物の高さは土地の特性によって制限されることがあります。この制限は一般に「絶対コード」と呼ばれ、建物の高さを最大10メートルまたは12メートルに制限するものです。また、「斜線制限」という法規も存在し、これは建物が敷地の端から一定の角度内に収まるようにする義務があります。特に、3階建てなどの多階層の住宅を計画している場合は、これらの規制に注意が必要です。

1-2.土地の広さだけでなく、建物の広さはどうか

住宅に関連する用語には「建ぺい率」と「容積率」という数値が使われます。これらは土地の面積に対して建物が占める割合や、建物の延べ床面積の割合を示すものです。

例えば、敷地の面積が100m²で建ぺい率が50%の場合、建物を建てることができる面積は50m²までと制限されます。つまり、土地を選ぶ際には広さだけでなく、希望する建物の広さも考慮する必要があります。

建ぺい率・・・敷地面積に対する建築面積の割合

容積率・・・敷地面積に対する建築容積の割合

延べ床面積・・・建物の床面積の合計

例えば、敷地の面積が100m²で建ぺい率が50%、容積率が150%の場合、以下のように計算されます。

建物の面積制限: 100m² × 50% = 50m²

建物の容積制限: 100m² × 150% = 150m²

これにより、建物は50m²までの面積で、150m²までの容積で設計する必要があります。土地選びでは広さだけでなく、建物の広さも考慮した計画が必要です。

1-3.地盤はしっかりしているか

初めて見たときに平坦に見える土地でも、実際には場所によって地盤の状態が異なることがあります。地盤が軟弱な状態だと、建物の重みで沈下が起こったり、地震の際に傾いたりするなどの問題が生じる可能性があります。特に、以前は畑や田んぼだったような住宅地としての利用歴の少ない土地の場合は、事前に適切な対策を講じることが重要です。建設会社など専門家に相談して、地盤の状態を確認し、必要な対策を行いましょう。

1-4.周囲の環境は今後どうなっていくか

土地には、その用途に基づいた条件が設けられています。住居専用地域や工業地域など、さまざまな用途に分けられ、それに適した利用が求められています。例えば、商業地域では将来的に大型店舗や遊技施設などが近隣に建つ可能性があります。また住居専用地域でも、学校や公共施設の建設であれば認められているのがほとんどです。

ずっと静かな環境で過ごしたいといった希望があるのなら、購入する土地周囲の環境の変化や、将来の展望を考慮することが重要です。将来的に近隣にどのような施設や建物が建つのか、地域の規制や計画についても可能な限り調べておきましょう。

1-5.工事費用は抑えられるかどうか

工事費用は、地盤の状態だけでなく、他にも多くの要因が影響します。たとえば、狭い道路しかない場合、資材の運搬に追加費用がかかることがあります。また、上下水道が近くにない土地では、引き込み工事費用が必要になるでしょう。環境によって工事費用を増加させることは多いです。

工事費用を抑えるには、事前にこれらの状況を理解し、住宅メーカーなどと相談してから予算を決めることが大切です。工事にかかる潜在的な追加費用を事前に把握し、予算を適切に設定することで、予想外の支出を避けることができます。

2. 土地探しの段取りを把握して行動しよう

土地探しは、いきなりインスピレーションで選んでしまうのは危険です。確かに探すうちにピンと来る土地はあるものの、ある程度段取りを取ってから決めないとのちのち後悔することも。ここからは、失敗を防ぐ土地探しの段取りを順番に紹介します。

2-1.まずは建てたい家のイメージを掴む

まずは希望するエリアを絞ると同時に建てたい家のイメージを固めましょう。

“土地探しで具体的に行うこと”

理想の家のイメージを明確にする・・・まず、どのような家を建てたいかを具体的にイメージしましょう。部屋の配置、外観、庭のスペースなどを想像します。

希望エリアを絞る・・・建てたいエリアを絞り込む際に、交通の便や生活環境を考慮しましょう。また、そのエリアでの土地の相場や空き地の情報も調査しておきます。

住宅情報を収集する・・・雑誌やホームページなどで、さまざまな住宅情報を収集しましょう。これによって、新しいアイデアやトレンドを知ることができます。

家族で話し合い・・・収集した情報を家族で共有し、お気に入りの要素やアイデアについて話し合いましょう。これによって、家族の希望や意見を取り入れた計画が立てられます。

費用を把握し、建築費用の感覚をつかむ・・・実際にかかる費用を詳しく把握しましょう。建築費用や土地の購入費用、付帯する諸費用などを予算内で考慮し、計画を進めていきます。
事前に複数の建築業者から見積もりを取り、建築費用の目安をつかんでおきましょう。

あまりイメージがつかめない場合は、住宅情報の雑誌やホームページなど色々な場所を検索し、お気に入りをみつけておくのもおすすめです。その上で実際にかかる費用を把握しながら、建築費用の感覚もつかんでおきましょう 。

2-2.希望エリアの土地価格相場をチェック

希望するエリアを絞り込んだら、そのエリアごとに土地の価格相場を、検索サイトや専門雑誌などで調べてみましょう。土地の相場は、最寄りの駅からの距離や周辺の環境、土地の広さや形状によって異なります。また、建てたい家の工事費用と組み合わせて、家づくり全体の予算を検討しましょう。希望するエリアの土地価格を調査することで、将来的な予算や資金計画がより具体的になります。

2-3.住宅メーカーの候補を決める

予算の全体像を把握したら、次に住宅メーカーを選びます。間取りのプランや費用だけでなく、技術力や対応力、そしてアフターフォローなど、さまざまな観点から複数の候補を比較することが重要です。これによって、建てたい家の具体的なイメージが明確になり、さらに土地の条件もより具体的に絞り込めます。

2-4.条件の優先順位を決める

土地選びにおいて、すべての理想的な条件を一度に満たすことは難しいです。そのため、自身の希望を優先順位付けし、条件を柔軟に調整しながら予算との調和を図ることが重要です。以下に具体的なポイントを挙げてみました。

優先順位となるポイント具体例
自身のライフスタイルを考える休日の過ごし方や活動の好み、日常のリラックス方法を考慮する
優先順位を付ける生活スタイルのポイントに基づいて、条件を優先順位付けする。例えば、休日を家で過ごしたい人なら、居住空間や設備の快適さが優先される
予算とのバランスを取る希望の条件と予算のバランスを取りながら、重要な条件を選ぶ。必要に応じて、条件を調整すること。
住宅メーカーなどに相談優先順位を考慮した条件リストをもとに、専門家と協力しながら土地選びを進める。プロのアドバイスを受けながら、最適な選択肢を見つけること

上記のように、希望する生活スタイルに応じて優先順位を付けることが、最適な土地選びのヒントになります。

2-5.住宅メーカーと一緒に土地を探す

建物と土地の優先順位が明確になったら、具体的な土地の選定を行いましょう。インターネットや不動産会社だけでなく、住宅メーカーも豊富な情報を持っていることがあります。住宅メーカーを協力者として味方につけ、候補の土地が希望の家を得られるか判断してもらいましょう。住宅メーカーのサポートを受けて土地選びを進めることは、将来の問題を回避する助けとなります。

3.まとめ

土地選びは勢いで行うと失敗することも多いです。実は日当たりが悪かった、安いと思ったら諸費用が莫大にかかったなど、後悔する例も少なくありません。

そんなことにならないよう、土地選びは建築条件をしっかり確認しながら手順を踏み、優先順位を決めながら選ぶことが大切です。運命的な土地を見つけたら、住宅メーカーとしっかり相談し、条件や費用面で希望の家を建てられるか確認しましょう。快適な家づくりを目指すためにも、土地選びは計画的に進めていきましょう。